15年以上続く金銀環境をようやくブレイクスルーできました(過去形)
ポケモン | 技 | 持ち物 | |||
---|---|---|---|---|---|
バンギラス | いわなだれ | ばくれつパンチ | だいもんじ | かみくだく | きせきのみ |
ナッシー | サイコキネシス | ねむりごな | やどりぎのタネ | だいばくはつ | はっかのみ |
フシギバナ | はっぱカッター | ねむりごな | やどりぎのタネ | こうごうせい | まひなおしのみ |
カビゴン | すてみタックル | だいもんじ | のろい | じばく | たべのこし |
ゴローニャ | じしん | いわなだれ | のろい | だいばくはつ | おうごんのみ |
ミルタンク | おんがえし | ばくれつパンチ | のろい | ミルクのみ | ピンクのリボン |
使用期間 2015.8.10~
【構築のきっかけ】
現環境に『バンギパ』は存在しない by 117
と言われるほど、もはやWA・TAの穴埋めが主流となった金銀バンギラス。
しかし過去には王パという完成度の高い先駆者的バンギパがある。
自分はバンギラスが好きだが実機厳選育成が大変で
ジムリーダーの城をはじめたこともあって
バンギラスパーティにはとても愛着がある(あこがれ)
無いのなら自分でつくってしまえばいいよね!
リフライコウパに挑戦した後の2015年末あたりから、
環境をブレイクスルーする可能性を秘めた
現環境でのバンギパを本気で追求することにした。
【金銀】ランボー怒りの金銀環境のイマとブレイクスルーポイント - Pokemon Ultravisitor
バンギパ、というからにはバンギの特性が理解され
その強みが生かされた構築でなくてはならない。
ポケモン対戦 金銀2000を考えるうえで、
バンギラスの強みとは
①種族値や固有属性・技選択による独自性
②構築によってニドキングにもカイリキーにもなれる
⇒ 単体での抽象化&記号化のされやすさ
③ ①+② ⇒ バンギ+α でいろんな個性を引き出せる
⇒ 多くの組み合わせに対応でき、構造を作り出しやすい(抽象度を高められる)
④バンギ+α で抽象度が高い ⇒ 選出&立ち回り(=抽象⇔具体)の自由度が高い
意味がよくわからない人は↓↓の記事よんでね!
【全世代】ヤドンでもわかる! 抽象思考のススメ - Pokemon Ultravisitor
しかし上記の長所は
抽象的ゆえにわかりにくく
それが裏目に出てしまっていて
・バンギ単体で考えると型がよくわからなくて評価しづらい
・抽象度が高く、自由度も高い=言語化しづらい、できない
・固有の属性特徴からバンギ自身の穴埋めが困難
⇒特定の型&構築の危うさ&あやふやさ(マイナス面に目が行きがち)
構築やWAの穴埋めには便利
弱くはないけどよくわからん強さ
といった評価や考察が主にされている。
つまり金銀バンギラスのよさは現状最大限に引き出されておらず、
その可能性は眠ったままなのだ!
(バーン!!!!!!)
視聴者参加型金銀雑感まとめ:増補版 - stoicのポケモンGBAメモ帳
そこで考え始めるスタートとして、
バンギラス単体ではなく、
バンギラス+α に目を向け
とにかくいろんなポケモンと組み合わせて
・実戦での組み合わせ、自由度、活かされ方
・そこで生まれる構造
・組み合わせ同士、構造同士の関係性 /// etc.
を「バンギラスシリーズ」として考察した。
金銀環境全体を考えてバンギ+α を抽象化していった結果、
最終的にバンギ+ナッシー
バンギ+W草
バンギパ in ゴローニャ
バンギタンクWAへたどり着く。
それがこの構築の経緯である。
【個別考察】
バンギラス
いわなだれ・ばくれつパンチ・だいもんじ・かみくだく@きせきのみ
一致技でカビゴン・炎・サンダーへしっかり物理打点のあるいわなだれ
バンギ最強の技、サイクルでも対面でも打てるばくれつパンチ
打点の薄い鋼・草・ヘラを焼けるだいもんじ
スターミー・フーディン・おばけやパルシェンナッシーをがっつり削れて、
のろいを積んだノーマルにも打てる命中安定特殊技 かみくだく
岩+格闘+炎の範囲は普遍的であり、
その3つに加えて構築で薄い&並びでもちたいかみくだくを採用.
WAのミルタンクがゴーストに無抵抗であり
カビパの☆だけでなく
55ゲンガー・おうごんのみ持ちムウマ・Wゴースト
にも対抗できる かみくだくの優先度は高い。
サイクルで一貫性が取りやすく
他の3ウエポンは命中不安技なので
地面などへも打てる命中安定特殊技(2回目)
として実戦での信頼度も高い。
この構築のポイントであるバンギ+ナッシー、バンギ+W草 を活かすため
持ち物はサイクルの状態異常合戦を制する きせきのみ。
相手が打ってくるばくれつパンチがヒットしても
混乱耐性があり行動保障がある点もよい。
でんじほうゴーストにも強気に出られる。
また急所や追加効果による崩しは金銀バンギのお家芸。
バンギラスに対する相手は追加効果や急所による
事故の可能性に常に晒されることになる。
フルアタバンギラスパーティを開拓した王パにも敬意を表して
追加効果のある4種類の攻撃技を状況に応じて打ち分けるスタイルを
W草とも組み合わせたバンギパならではの崩しギミックとして踏襲した。
ナッシー
サイコキネシス・ねむりごな・やどりぎのタネ・だいばくはつ@はっかのみ
打点がありフシギバナと範囲を変えたサイキネ
最強の草技であるねむりごなとやどりぎのタネ
有利展開やタイマンをつくり出すだいばくはつ
持ち物はおうごんのみをゴローニャにまわした為、
草ミラーでサイクルをまわしやすくし、バンギと同じく状態異常をカットするはっかのみを採用したがこれがなかなかハマった。
バンギ+ナッシーで2回も催眠に対する行動保障があるため
命中率も合わさって状態異常の入れ合いを制することができ、
催眠からの崩しを相手より先に遂行できる。
受けだけでなく攻めの面でも
相手のきせきのみ持ち入りのサイクルに対して
バンギ(タンク)の爆Pで相手のきせきのみを剥がしてこちらのねむりごなを通す
ナッシー(バナ)のねむりごなできせきのみをカットして爆Pの崩しを展開する
といった状態異常&道具による耐性=速度が絡む崩し展開ミラーで一歩先を行くことが可能。
また寝言でフシギバナ対策をしているバンギの天敵・カイリキーには
ナッシーで圧力をかけられるため
W草で総合的なカイリキー対策もある程度できる。
☆ ナッシーの強さについて
2016~金銀環境の前提として、
三銃士という言葉が出て少し経った後、去年の後半あたりから霊と地面さらに岩や鋼を含む対カビの役割はナッシーに抽象化されたと考えていた。なので、ネールやらムウマさえまずパーティに入らなかった。それだけナッシーが強かった、バンギラスが跋扈しててもね。そんななか唯一ゴローニャは対炎(続く
— 117 (@117poke) 2017年2月17日
・多くの枠を兼用できる抽象度の高さ
ポケモンむかしばなし:カビゴン・ガラガラ・サンダー - きんのいれば
・草ヒエラルキーの頂点(汎用性面で)
・やどりぎ・状態異常・爆破といった崩しテクニックの汎用性の高さ
・環境が煮詰まってくる ⇒ 崩しキャラ同士のミラーマッチが起こって受けに行った側が有利になりがち
+ミラーで対策した方が他に見れる範囲が広がって効率がいい可能性がある(梨割理論)
などの理由から
多くの要素がナッシーに抽象化されていた。
そこで起こるナッシー入りセットミラー対決で
バンギ+ナッシーによる「三角関係の崩壊」を目指した。
ナッシーが強い金銀環境で、これが弱いわけがなかった。
バンギ+ナッシーと言うと、弱点が多くかんたんにメタられそうだが、
ここまで環境が抽象化した現環境だからこそたどり着いた並びである。
@stoic4486 でもナッシーでナッシーしないとナッシーがナッシーされってナッシーになっちゃうから、ナッシーはナッシーしつつナッシーしないとナッシーになるよ
— アウオオ (@akcauoo) 2016年1月29日
ゴローニャ
じしん・いわなだれ・のろい・だいばくはつ@おうごんのみ
カビゴンが強すぎる環境においてかなり精度の高いカビ流し&対策となり、
高レベルカビゴン・対電気・炎、
(格闘技持ち)ノーマル・ゴースト・鋼と
この構築の隙間やトップメタの並びをしっかり埋めてくれる頼れる枠。
古典的なカビガラ+マヒゲー、低レベルサンダー入り、丸ころミルタンク、爆破速攻展開にも
耐性や自身の爆破によりナッシーと合わせてある程度強く動ける。
一致技で電気・炎・岩鋼に通る広範囲技じしん
対飛行に打てナパーム弾でも壊れないパルシェンをサイクルで削るいわなだれ
高レベルノーマルや寝言カビ対策、選出が刺さっていれば崩しにも使えるのろい
1対1交換で展開をつくるだいばくはつ
おうごんのみ の有無でサイクルでの性能が段違いであるため、
構築全体のバランスを考慮して献上。
この構築のゴローニャの強さは
他のポケモンと重ねることによる3すくみ&役割重複の強さ。
どのポケモンと重ねてもそれぞれカラーリングの異なる組み合わせが生まれ
2枚受け、相手の技一貫切り、役割集中や爆破による間接役割破壊を遂行する。
また選出画面では3すくみによる刺しキャラとなり
地面岩の攻撃範囲と爆破&耐性から攻防一体の一貫が取れる。
バンギパに組み合わせることで、この相乗効果が生み出されている。
バンギと組み合わせると地面や水に薄くなるが、そこはW草やWノーマルで補えばよい.
バンギ+ゴローニャもとことん突き詰めた組み合わせだと思うが、
バンギがナッシーパルシェンに強いこと、
抽象化されて煮詰まった金銀環境を象徴する並び。
ゴローニャのこうした個性を活かそうとする試みは近年何度か行われており、
自分も多くのインスピレーションを受けた.
せっかくなのでいくつか紹介!!
カビゴン
50カビミラーで不利だが有象無象や55カビに
サイクルで負荷をかけるすてみタックル
積んで1対1交換・崩しを遂行するのろい
1対1交換や有利展開、締め展開を作るじばく
スタンダードな残飯のろい自爆カビ
構築全体が50カビ入りにわりと強めであるため50カビミラーは他で補い、
対特殊・対55カビやその他崩しを満遍なく出来るような型にした。
サイクルや対面でダメージを蓄積させて相手を崩す立ち回りも
勝ち筋のひとつとして太くしたかったため、
速度を重視して試験的に導入。
50カビのすてみタックル ダメージ計算
50フシギバナ 82~97/186(14.27%で2発)
50ヘラクロス 87~103/186(72.91%で2発)
50黄金ナシ 81~96/201 + 55バンギかみくだく 137~162/201 = 218~258/231
A+1 で50黄金ナシ+宿木回復1 120~142/234(42.6%で2発)
55カビゴン 86~102/292 + B+1 への自爆 192~226/292 = 278~328/292
(残飯込 278~328/310)
55リフ有残飯ライコウ A+1 59~70/215(71.29%で4発)
A+2 79~94/215(99.8%で3発)
55残飯サンダー 74~88/215(62.54%で3発)
A+1 110~130/215(92.57%で2発)
フルアタバンギと組むサイクルや爆Pタンクと組む対面志向ではのしかかり3割マヒより
いかに相手のHPを削っておくか、がカギとなることが多い。
太鼓カビ軸にも強くなり、構築全体ですばやさが遅めであるため
カモられがちな高耐久みがわりハメ系への詰みを緩和する。
のろいを積んだあとのダメージも大きく、
大文字と合わせて相手の3銃士を崩したり
有象無象をむりやり事故らせたりできる 。
大文字はタンクと攻撃範囲を変えていて
Wノーマルの相乗効果が生まれるポイント。
ミルタンクと対を成す、食べ残しで対特殊に特化したノーマル枠。
バンギラスや岩には弱いが、そこはW草と爆P持ちWAで補い、
他の役割に専念できるようにした。
バンギ・ナッシー・ゴローニャ・ミルタンクという尖ったメンツの弱いところを
うまーく埋めてくれる、頼れるポケモン。
117さんのライコウガラWAなど、WA構築のこういった穴埋め的50カビゴン(特にじばく)は
古典的なカビゴンの使われ方モデルのひとつである。
ポケモン金銀の高速道路とケモノみち 最近の117さん的金銀活動~金金はしていない~
フシギバナ
はっぱカッター・ねむりごな・やどりぎのタネ・こうごうせい@まひなおしのみ
当初この枠はヘラクロスであったが、
117さんが「めざ虫バナ」というモンスターを生み出したために
構築バランスを崩すことなくミラーで対抗できるフシギバナに変更した。
バンギ+バナの相性補完と強さは普遍的.
メイン技は地面・水どちらにも通るはっぱカッターを採用
フシギバナ採用でW草編成を組むことにより
バンギ+α とのシナジーが増し、構築全体のポテンシャルは大きく向上した。
3すくみによりナッシー対策、バンギ+ナッシー対策には
このフシギバナが機能しやすい。
たとえバンギ&タンクミラー、W草ミラーであっても
草マウント争いの覇権を譲ることはない。
また、
・両刀広範囲&刺しキャラ系
・低速起点みがわりハメ系&バトンコンボ /// etc
などバンギナシゴロの穴埋め&ごまかしもきっちりこなし、
カビゴンと同じく、補完としての金銀フシギバナ本来のよさが出ている。
ヘラと比較するとゴーストに少し弱くなってしまったが
・サイクルでの崩し
・草セットミラー対決のポテンシャル向上
など構築コンセプトに必要な枠であり
ヘラ⇒フシギバナの変更で総合的な構築パワーは向上した。
(めざ虫バナはやめてね~)
ミルタンク
おんがえし・ばくれつパンチ・のろい・ミルクのみ@ピンクのリボン
高レベノーマル考その1〜ミルタンク〜 - stoicのポケモンGBAメモ帳
2016年から本格的に環境へ席巻した55ミルタンク。
地震カビ、太鼓カビ、爆Pカビ、セミフルカビ、寝言カビなどのカビゴン
ケンタロス、ガラガラ、ドンファン(直接対決は不利)などの物理
バンギ+α に刺さる水炎、エレブー・ブーバー・ドククラゲ・ニドキング・カイリュー・イノムーなどの両刀広範囲系。
おまけでメロメロ♀ハメ系やフーディン。
対物理に特化したノーマル枠であり、バンギとのWAで欲しい要素を悉く持っている。
王パのWAであるフーディンと同じく
バンギとタンクの関係はまだみぬ3すくみ.
バンギラスWAパーティの構造として
バンギとサポメンを自然に共有しながら
お互いの苦手な組み合わせに切り返せるところはほんとに重要。
ばくれつパンチを持つことでゴーストには無抵抗になってしまうが、
多くのポケモンの上を取れることもあり
パルシェン、タンク&バンギミラーはもちろん
ブラキ、バナナッシーへささやかな抵抗ができる。
ちなみに55ミルタンクは金銀2000のばくれつパンチを撃てるポケモンのなかで
フーディン、ニューラ、ゲンガー、エレブーに次いで
【解説】
バンギラスパーティとは、この構築では
バンギ+α から生まれる構造と
抽象度、自由度の高さを活かす構築を意味する。
ここからがこの構築の本番である。
少し長くなるがお付き合いいただきたい。
解説は
・バンギ+ナッシー、バンギ+W草構造
・構築全体のシナジー
・金銀構築として特筆すべき点
の順番で書いていく。
☆バンギ+ナッシーの強さ
前提として金銀環境でのナッシーの強さに注目した.
そのナッシーや強力なサポートキャラであるパルシェンに強いバンギを組み合わせ
バンギパにナッシー+バナのW草を組み込んだ
・3すくみの崩し
・草ヒエラルキー・三銃士メタ掌握による崩し
・セットミラー・コンセプトミラーの制圧
を最大の軸としている。
そこに構築全体としてゴローニャ、
別ルートとなるミルタンク軸の補完的な強さを組み合わせている。
☆3すくみで相手を崩す
バンギ+W草による、バンギ⇒ナッシー⇒バナ⇒バンギ の3すくみ
金銀2000環境を抽象化した際に読み取れる
上記3すくみをバンギ+W草の並びにより実践。
まだ見ぬ三すくみの活用(未知の相手を対策する方法) - stoicのポケモンGBAメモ帳
Nintendo Cup 2000 キャラランク決定版 - きんのいれば
こちらから積極的に相手との3すくみ構造を作り出すことで
崩しルートのなかに能動的に相手を落とし込む。
この3すくみ構造には
①相手のポケモンを こちらの3すくみに組み込む(まだみぬ3すくみ)
ex ) こちらバンギ←相手カイリキー←こちらフシギバナ
②相手のバンギ+W草ミラーをこちらの3すくみに組み込む
ex ) こちらフシギバナ←相手ナッシー←こちらバンギ
の2層がある。
もともとバンギ+草ミラーが幅広い範囲をカバーしていることから
(まだ見ぬ)3すくみによる崩し構造を作り出すことができる。
☆ミラーマッチを制する
ミラーマッチについて - stoicのポケモンGBAメモ帳(二)
ポケモンむかしばなし:カビゴン・ガラガラ・サンダー - きんのいれば
バトレボ環境鋼タイプまとめ(読みから考察する構築方法) - 許されざる催眠厨
バンギ+W草の3すくみに、更にセットミラー・コンセプトミラーを重ねる。
梨割理論の「三角関係の崩壊」、
ミラーマッチの役割集中や崩し潰し。
この構築ではそれを最大限に活かし
バンギ&タンクミラー、草ミラーを制する構造をとる。
ex ) 相手のナッシー ←こちらバンギ+ナシ
相手のナッシー ⇔こちらナッシー(裏にバナ、カビタンクなど)(梨割理論)
相手のバンギ ←こちらバンギバナ
相手のバンギナッシー←こちらバンギバナ など
この構造から
草ミラーの崩し展開の優位
ナッシー受けナッシー、ナッシーの爆破による役割破壊
ナッシーに対するバンギ繰り出し、バナに対するナッシー後出し
← ←
草を草で受けることによるやどりぎ無効のサイクル←
バンギ(タンク)に後出ししてくるバンギ(タンク)ミラーへの遂行
← ←
← ← /// etc
など様々なムーブが生まれ、バンギ+草ミラーによる崩し展開を制することができる。
特に相手のナッシー(ついでにパルシェン)は
こちらのタンク カビ ゴローニャ ナッシーのために選出強制力が大きく働いている。
選出された相手ナッシーに対して
バンギ+ナッシーのナッシーミラーマッチから
草ヒエラルキー、ナッシー抽象化環境の制圧による
イージーウィンを狙うことができる。
☆古典三銃士メタの制圧
三銃士というくくりはもともと正式名称は「カビガラ三銃士」(カビガラ対策できつつ色々と汎用的に動けるやつら)だったんだけど個人的にはバナに関しては爆破できないんで別枠でとらえて考えてみてもいい気はしている
— stoic (@stoic4486) 2017年5月5日
金銀対戦で三銃士が強い理由は
ナッシーの強さの説明とほとんど同じ理由。
抽象化された環境で無駄のない独自の強さを持ち、
いくつかの枠や役割を兼ねることもでき、
固有の崩しテクニックや決定力で他の追随を許さない
万能低レベルサポートだからである。
勘のいい人ならわかると思うが、上記バンギ+W草の3すくみ、
ミラーマッチの制圧はそのまま三銃士との関係に拡張することができる。
これは三銃士自体がパル←バナ←ナシ←パル ←←
と別の3すくみになっていること
バンギがバナに弱めでパルナッシーに強いこと ←← から成立する
つまりバンギ+W草の構造は、相手の三銃士入りにさらに3すくみの構造と崩壊を作り出し、
バンギ軸は三銃士入りという金銀屈指のコンセプトミラーを制することができる、
ということである。
しかし2016年春頃あたりから三銃士ミラーの研究や型の開発、構築の発展が起こった。
バンギ+W草でメタっていたほとんどテンプレ型採用の環境から大きな変化が起こっている。
サンダータンク2017 - stoicのポケモンGBAメモ帳
サンダータンク最終結論と言ったな、あれは嘘だ - stoicのポケモンGBAメモ帳
ナッツ杯2感想&サンダータンク最終結論版&現環境パーティ雑感つまり最近の金銀について私が思っていることの全て - stoicのポケモンGBAメモ帳
それにより現状はそれほど簡単にはいかなくなったため、
ここでは「古典三銃士メタ」というくくりで表現した。
古典的とした型がなぜ採用されてきたのかの解説は↓↓の記事を参照.
金銀のナッシーから見た環境変化とそのフィードバック - stoicのポケモンGBAメモ帳
☆W草W岩Wノーマルのシナジー ・・
ここからはバンギ+W草に加えて、
様々なシナジーの効いた構築全体の並び解説となる。
まず普遍的に相性のいい草+岩が構築の軸。
そこに緩衝材&補完として対特殊、対物理にそれぞれ特化し、
対鋼や草に打点をもったWノーマル枠のシナジーを加える。
W草W岩Wノーマルの片方はナッシーゴローニャカビゴンと爆弾であり、
バンギ+W草、草ヒエラルキー制圧の崩しギミックと掛け合わさって
間接役割破壊や役割集中の崩しを作り出す。
当たり前だが各爆破ポケモンはそれぞれ範囲や役割が違うため
通常の爆破による対面速攻や崩しももちろん行える。
またW草岩ノーマルで攻撃範囲を
ノーマルは格闘+炎(タンクの爆P+カビの文字)
草は草+エスパー(バナのカッター+ナッシーのサイキネ)
岩は地面+格闘炎悪
とそれぞれずらすこと、
複合属性による耐性や役割を
草は毒+エスパー、岩は悪+地面とずらすこと、
そもそも抽象化された枠の役割が違うこと、
などからこれもミラー&3すくみの崩壊による崩し、間接役割破壊、役割集中の崩し、
構築全体の耐久性の向上に一役買っている。
ちなみにW草W岩Wノーマルの編成は
CHさんのCH流セキチクジム、stoicさんのニビジム風三銃士パ、
世代&ルールは違うがルイピカさんの初代97TA構築にもヒントをもらった。
ヒストリアカップ2016*Resurrection!使用パーティー紹介 - 年の劫よりカメックスの甲
☆バンギ+W草 / タンク+カビゴロのシナジー /
W草W岩Wノーマル構造に加えて、
バンギ+W草の3体とタンク+カビゴロの3体、
この3+3の組み合わせにもいいシナジーが生まれている。
まずタンク+カビゴロについて.
タンク+カビのWノーマルが
対物理・対特殊で分担されており、
とても相性がよい。
そこに加わるゴローニャは相性補完ではなく、
タンクやカビ他と重なることで均衡を崩すスパイスとなる。
この3体は攻撃範囲的にはノーマル・地面・格闘と
いわゆる「表」の範囲中心。
そこで炎や地面&岩の範囲が時に一貫性を作り出す。
つまりバンギ+W草と同じようにタンク+カビゴロの組み合わせでも
3すくみの発生とその解消を多方面で作り出している。
構築全体の補完関係では
バンギ+W草では
・速度が早い対面構築
・三銃士耐性&草サイクル耐性
・バンギ+α の弱点を突く、素早さで上を取る、高火力で一貫を作る /// etc
などの理由から不利がつくことがある
炎+格闘や水+氷の高範囲系には
タンク+カビゴロが補完として上手く働く。
(格闘は一貫するがバンギ+W草より爆破の圧力やS関係・数値によりだいぶ緩和している)
一方タンク+カビゴロが苦手とするナッシーバナパル(三銃士)軸には
前述したバンギ+W草で勝てるため、
この3+3の組み合わせは(実際にはもっと複雑だが)お互いに補い合っている。
またタンク+カビゴロの3体は攻撃範囲を変えながら
全員のろいと技&道具(ミルクのみ、たべのこし・おうごんのみ)によるHP回復を行える。
この3体は
バンギ+W草のようにサイクル&状態異常の崩しというよりは
数値を高めて相手を突破していく対面&数値の積み展開と、
爆破&爆Pによる崩しや詰めが得意。
つまり バンギ+W草 と タンク+カビゴロ の 3+3 は、
ポケモン対戦で普遍的な
①対面/数値
②サイクル/崩し
③攻撃範囲と受け/耐性
の観点からも補い合っている。
☆重層化されたシナジーによる抽象度と自由度の高さ
他に物理でみるとタンク+ゴロ
物理+特殊の複合はバンギ+カビ
特殊ではバナ+ナッシー
と物理、特殊、複合の攻撃範囲面でも片方が爆弾であり、ここでもシナジーが効いている。
あとバンギ+W草は裏の範囲中心、タンク+カビゴロは表の範囲中心で
それ自体でも、掛け合わせてもシナジーが生まれる、とか
弱点耐性含めて尖った性能であるバンギナシゴロに対して
タンクカビバナは数値やS関係、回復技とのろいヤドリギ残飯から
ごまかし性能が高くこれも補い合ってる など、、とても全て書ききれない。
ようするに
この構築はどんな風に切り取っても自然に3すくみやシナジーが発生し、
これまであげたような構造をいくつも共有し、構造に構造を重ねながら
その抽象度と自由度の高さで相手を崩す構築、ということ。
個々の枠のポテンシャルを活かしながら、
枠同士の結びつきや
相手のポケモンとによって生まれる関係性、
まず構造が基盤にあるということ。
それがこの構築で最も重要な点のひとつである。
☆単体&構築全体で最大パワーを引き出す
ここまでバンギ+W草、構築全体のシナジーについて解説した。
ここからは金銀構築として重要なポイントについて解説する。
まずこれまでシングル対戦のいろんなところで言われ続けているポイントであり、
金銀で構築の組み方の前提となるひとつの考え方について。
(stoicさんミラーマッチ記事、鳥さんのコストとシナジーとか)
この構築では個々の汎用性の高さをベースに
同じ枠同士のミラーでも(みちづれ技込みで)互角以上に渡り合える
単体性能を重視した型を採用している。
ポケモン | 技 | 持ち物 | |||
---|---|---|---|---|---|
バンギラス | いわなだれ | ばくれつパンチ | だいもんじ | かみくだく | きせきのみ |
ナッシー | サイコキネシス | ねむりごな | やどりぎのタネ | だいばくはつ | はっかのみ |
フシギバナ | はっぱカッター | ねむりごな | やどりぎのタネ | こうごうせい | まひなおしのみ |
カビゴン | すてみタックル | だいもんじ | のろい | じばく | たべのこし |
ゴローニャ | じしん | いわなだれ | のろい | だいばくはつ | おうごんのみ |
ミルタンク | おんがえし | ばくれつパンチ | のろい | ミルクのみ | ピンクのリボン |
攻撃技は火力、範囲、一貫性重視
補助技もコンボ系・壁・能力ダウン技ではなく、
ターン自体のアドバンテージをとりやすく速度と崩しを兼ね備えた
催眠・混乱・宿木とのろい(積み技)&回復技( or 爆破).
自身のタイマン性能を高めつつ、崩しにもサポートにも応用できる
攻防一体で単体性能を高める、という
無駄を極力省いた方向性で個々のデザインを統一している.
金銀環境での個別の型評価はさておき
この構築では単体で役割が完結し遂行重視、
個々でもミラーでも最も単体性能が発揮される型の集合を目指した。
同時にそれとはまた別次元で
これまで語ってきた枠同士の結びつきや
構造によるシナジーも発生させているため、
構築全体で選出組み合わせや立ち回りの自由度も高い。
またコスト面でこまかい点として、WA構築あるあるの
汎用サポートを採用したら持たせる道具が余っていない、
WAとサポートで持たせたい道具が被っている、
といった点にも注意を払い、持ち物面でも最適化され隙がなくなるように配慮した。
コスト配分や役割を考慮して金銀を象徴する高汎用持ち物
(たべのこし・きせき・おうごん・まひなおし・はっかのみの5つ + 専用アイテム)
を満遍なく配置することで、
その意味でも自由度の高い選出と崩し突破ルートが生み出される。
結果、構築全体で無駄が生じにくく低コストで単体でも強く、
枠同士の組み合わせ、構築全体でも最大限のパワーを出力できる。
環境トップメタパにも有象無象メタパにも幅広く戦え、
ミラーマッチにも強い構築を追求した結果、
このようなスタイルに仕上がった。
☆カビゴンを封じ、カビゴン入り3on3を制する
金銀2000環境で絶対的強さを持ち、現環境でも55A、低レベル
あらゆる型で強さを誇るカビゴン。
もともとバンギ+W草がカビゴン&カビゴンメタになかなか強いが
さらにそこにタンク、ゴローニャ、残飯のろい自爆カビを投入。
どのポケモンもシングル6→3の選出で他の役割を持ちながら、
相手の様々なカビゴンの型に広い範囲で対応できる。
こちらのカビゴンが50とコストが低く、
1対1交換をしやすい自爆カビであることもポイント。
金銀のカビゴン対策として代表的な
・ノーマル耐性(W岩) ・ミルタンク(数値受け)
・鈍い自爆カビ ・ばくれつパンチ(格闘技)
・爆破 ・催眠 ・定数ダメージ
これらの対抗策を構築全体の選択肢として搭載。
結果、相手のカビゴンを封じながら崩せる、
カビゴン入りの3vs3セットミラーでも勝てる、
金銀では対策必須のカビゴン+α の並びへの回答をバンギパとして示した。
(前回組んだライコウバンギWAがカビパに弱かったところからの反省もある)
ついでにガラガラパやケンタなどの物理入りにも幅広く対応できるところ、
同じく現在対カビパに秀でた構築筆頭であるサンダーパ、ミルタンクパミラーにわりと強めであるところもバンギパ&WA構築としてポイント。
☆状態異常・コンボ対策
金銀WA構築として重要な要素であり
状態異常・コンボ対策についても触れておく。
この構築ではこちらから先に崩しきることを目指し、
コストを抑えたごまかし中心の対策をとっている。
具体的には
・属性による耐性、道具によるフォロー
・鈍い積みによるマヒサポート展開緩和
・爆破や崩し速度による毒への緩和
・爆破による対面性能
とそれぞれ展開によって攻め志向を緩めることなく
立ち回りのついでに解消する方向性。
採用枠のSラインも
50レベルS70族に先制する55バンギラス(実数値123)
S80族50フシギバナ(実数値131)
S100族55ミルタンク(実数値166)
という絶妙なライン。
そこで催眠展開を制し、爆破や爆Pによる崩し展開で勝つことが
この構築の状態異常・コンボ対策の回答である。
よって状態異常の崩し展開や崩し構築ミラーにも強めとなっている反面、
受け志向のまきびし展開には弱めとなっている。
これはマイナーチェンジ構築であるモーダルバンギ2でもすこし触れたとおり。
【金銀】モーダルバンギ W悪Wエスパーver.【構築】 - Pokemon Ultravisitor
☆爆P持ちWA
最後にこの構築の重要なポイントとして、環境トップレベルのWAが
バンギはサイクルより、タンクは対面よりから爆Pを打つことで
構築のパワーを落とすことなく、混乱&自傷による崩しも組み込んだ。
汎用性面でも一見矛盾している要素のように思える。
実際使い方によってはむずかしい技でもあると思う。
(55爆Pカビパとかね)
しかしこの構築ではWAの攻撃範囲面での補完&一貫を作り、
サイクルでの崩しと対面での突破性能を高め、
WAミラーに強い型としても必然の技、という3重の意味を持つ。
そして構築全体の相性補完や実戦で生じる構造により
もちろん立ち回り上で有効に打てる機会が増えるようにも考慮している。
ミラーマッチでの決定力&運ゲー押し付けも演出し、
構築段階で構築全体のパワーや勝率を大きく底上げしている。
矛盾どころか、この構築のスペシャルポイントといえるだろう。
☆まとめ
バンギ+W草構造
・バンギ+W草による3すくみ、ナッシー抽象化環境、ミラーマッチを制する草マウントと崩し
・三銃士入りセットミラー・コンセプトミラーと三銃士メタの制圧
構築全体のシナジー
・W草W岩Wノーマルのシナジーと崩し、
バンギ+W草 / タンク+カビゴロのシナジー
・重層的な構造による抽象度と自由度の高さ
金銀構築としてのポイント
・バンギパとしてカビパや対カビパ、物理・地面水炎格闘などへのフォロー
・単体性能を高め、ミラーにも強い型の集合と選出自由度・シナジーの両立による構築パワーの発揮
・WA構築として持ち物コストの最適化
・状態異常・コンボ対策と崩し展開ミラー
・爆P持ちWA
【対戦ログ&崩しパターン&苦手な並びなど】
長くなったので後日別記事にまとめます!
追記 ⇒ 対戦ログ記事を書きました!
【金銀】モーダルバンギタンク 対戦ログ集 - Pokemon Ultravisitor
【戦績と自己評価】
ヤッス杯 準優勝(スイスドロー・3勝1敗)
シン・ヤッス杯 優勝(スイスドロー・3勝1敗)
タンクWA編成での戦績 33戦 26勝 7敗(勝率78%ちょい)
2016年金銀環境では
・ミルタンクWA構築、タンク環境の促進
・バンギパ(バンギ+α )周りの向上
・WA環境の促進
・三銃士メタの推進
あたりがこの構築の貢献ポイントだと自己評価している。
また環境変遷記事も書きたいが
このあたりは大会結果なんかも参照してみてください.
【金銀】ヤッス杯結果発表!!【大会】 - Pokemon Ultravisitor
【金銀】 シン・ヤッス杯結果発表!! 【大会】 - Pokemon Ultravisitor
ナッツ杯2 結果&KP&ログ(暫定)&ログコメント募集&パーティ解説募集 - stoicのポケモンGBAメモ帳
ナッツ杯2 出場パーティ解説 - stoicのポケモンGBAメモ帳
【モーダルについて】
コーダルとは「和音的な」という意味の音楽用語。モーダル(旋法的な)と対象的に使われる場合もある。
モード・ジャズあるいはモーダル・ジャズ(Modal Jazz)は、コード進行よりもモード(旋法)を用いて演奏されるジャズ。モダン・ジャズのサブ・ジャンルのひとつである。
【全世代】ヤドンでもわかる! 抽象思考のススメ - Pokemon Ultravisitor
この構築では対戦環境をブレイクスルーするために
ヤドンの記事をさらに発展させた記号論・言語論ベースのポケモン対戦考察を行った.
これも長くなるのでまた今度、別のおまけコラム記事で.
【おわりに】
2017.9.22 に3DSで金銀VCが発売されるそうです!
ニンテンドー3DSバーチャルコンソール用ソフト『ポケットモンスター 金・銀』公式サイト
大人になって金銀対戦に全力で打ち込んできた身として
とてもうれしく思っています。
VC発売を通して、金銀2000の対戦にも興味を持ってくれる方がいると大変うれしいです!!
そして金銀勢はぜひ一緒に盛り上がっていきましょう!!
また、解説のところは他世代にも流用できる部分があると思います.
金銀対戦の輪が広がり、ポケモン対戦考察がさらに発展していくことを祈っています.
対戦ログやコラム記事もまたアゲますので、ご期待ください!!