ジムリーダーの城で第二世代の対戦をしてます、yasuです!
せっかくTwitterでつながっているし、他世代の方にも楽しんでもらえるような、メタ視点からみたポケモン対戦の記事を書きました。
ゲームやポケモン対戦の本質に近づけるように、できるだけわかりやすく触れてみたいと思います。
●ポケモンにおけるメタ
ポケモンで、メタとは「環境」や「対策」といった意味で使われています。
たとえばメタパーティとは、流行っている環境に対して刺さるパーティのことを意味します。
このメタやメタゲームはカードゲームで使われている言葉で、「仮想敵とそれに対する対策」という意味です。
メタゲームとは (メタゲームとは) [単語記事] - ニコニコ大百科
●本来のメタ ≒ メタフィジカル
こういった用法は、ゲーム用語なので記号化されて使われていますが、もともとのメタ≒メタフィジカルは「形而上学的」という意味です。
聞きなれない言葉なので自分なりに置き換えると、
メタフィジカルとは「それ自体について考えたり、枠組みや在り方を再認識して何かを捉えなおすこと」だと思います。
●メタフィジカルな視点によるゲームの発展と考察
こういったゲーム自体を上から俯瞰で見る、という視点は昔からゲーム考察に多く取り入れられ、実践されてきました。
なぜならそもそもゲームとは、デジタルアナログに関わらず、本質的にメタフィジカルに捉えられ、その都度メタゲームが発生する可能性が含まれているからです。
ここで言うメタゲームは先ほどのカードゲームの意味とは違うものです。
みなさんは子供のとき、お気に入りの遊びやゲームに飽きて、いつもと違う風に改良して遊んだことはなかったでしょうか?
既存のゲームに疑問を持ち、前提やルールを改良することで派生した、ちょっと違うゲーム。これがもうひとつのメタゲームの意味です。
例えば、ゲームにおけるRTAや縛りプレイなども本来のゲームから派生したメタゲームの一種ですね。
この考え方から、第1~第6世代全ての世代・ルールが、それぞれポケモン対戦というゲームのメタゲーム、ということになります。
細かい仕様、数字の種類が異なるマージャンやトランプをやっているようなものです。
このようなメタ的な視点がないと、プレイヤーはそのゲームの前提や枠組みに捉われたまま、限られたフレームの中で特定の理論や技術を発展させていくことになり、そのうち発展の限界という壁に突き当たります。
逆にメタ的な視点からポケモン対戦を考えると、既存の枠組みをブレイクスルーし、ポケモン対戦に備わっている論理的可能性を拡張した、環境にも影響を与えるような理論や戦術、パーティが生まれると思います。
メタ的な視点から、世代やルールを超えて共通する、ポケモン対戦の普遍的な要素や新しい可能性もみえてくるでしょう。
●ポケモン対戦のメタフィジカルな考察・具体例まとめ
今回の記事はふたつのメタ概念のアプローチの違いを整理しつつ、メタ視点からいろんな世代に共通するポケモン対戦の要素を抽象化するとおもしろいんじゃないか、と思い書くことにしました。
私の視点やまとめ方はあくまで一例で、伝えたいことはメタ視点からゲームを捉えなおす、ということです。
いろんな人のメタ視点によって、切り取り方は変わってくるし、そういった部分が対戦ゲームをおもしろくしているんじゃないかなぁ、と思います。
では、ポケモン対戦の要素から
①前提のルール ②構築 ③選出 ④立ち回り(ターン制バトル)の4つを取り上げ、考察例を挙げていきます。
まとめるにあたって、他の方の記事を引用させていただき、対照化することで、よりメタ視点から抽象化できるようにまとめました。
考察ネタとして、気軽に読んでもらえるとうれしいです。
(従来の簡略化した用途とかぶりますが、面倒なので、ここからメタフィジカルに考察すること=メタる、って表現しますね)
①前提のルール:各世代の対戦環境と概念をメタる
対戦の前提である対戦ルールの枠組みとそこから生まれる環境、それらに対応する概念をメタります。
定番のかたちとして、例えばそのルールで最も強いポケモンから考え、そのルールの基本となる考え方とそれをメタった戦術で考える、というものがあります。
第二世代を例に挙げてみます。
第二世代金銀の2000ルールでは、最も汎用性があり強いとされるカビゴン中心の環境が形成されました。
また初代からゲームバランスが変更され、ポケモン同士の相性を相対化した「役割理論」、その役割理論をメタった「役割破壊」、自爆技が強力である仕様から「爆破速攻」という概念・戦術が生まれました。
役割理論もカビゴン中心の環境をふまえながら、対戦速度の変化や環境の発展に合わせて、対戦の立ち回りや速度の概念が反映され、
ポケモンの組み合わせ単位・パーティ単位での有利不利の相性まで考慮され、
より記号抽象化された「役割」の概念にメタ的に変化してきました。
「カビゴン中心の環境」、「役割理論」や「爆破速攻」といったこれら2000ルールをメタ視点から捉えた以下に挙げるパーティは、直近の第二世代のトップメタを塗り替え、環境を大きく変えてきました。
直近の第二世代を知らない方へ例として、宣伝もかねてリンク張ります^^
私が第二世代でやっているので2000ルールを例にしましたが、
どの世代・ルールでも完成度の高いパーティは、この視点が必ず含まれていると思います。
カビゴンを中心にポケモンの役割を極限まで記号抽象化していく117さんのキチカビパーティの変遷
環境を変えた爆破速攻TA
マリオパーティ13 3代目魔人島様
さらに洗練された爆破速攻TAのたたき台・stoicさんのポニョTA
②構築:パーティ6枠、ポケモン1匹の技枠4つ、持ち物(その他レベル編成、努力値、特性)など構築の枠と基本的な要素をメタる
パーティの汎用性を高めるために上記の枠を埋めていって対策ベースで構築を行っていくことをわかりやすく置き換えた概念がはまっちゃった人さんの「対策コスト」です。
私は最新世代は詳しくないのですが、以下のタケシズさんのページを読むと対策ベースで構築を組むこと、コストを意識してパーティをまとめていくことの大切さは最新世代でも変わらないようです。
ポケモン対戦に役割の概念やポケモン同士の強弱関係があり、構築枠数の縛りがある以上、普遍的な考え方であるといえるでしょう。
【PT構築講座】好きなポケモンを使ってレート上位を目指そう【シングルレート】 - タケポケ道場
ちなみに第二世代ではジムリーダーの城公認掲示板のスレッドにて以下のように議論されていました。
対策の優先度について - 1396526712 - ジムリーダーの城公認掲示板
第二世代を知らない方でも、タケシズさんのページと比べて読むと、あれこれ同じような話してる部分多いよね、と気がつくと思います。
これがメタ視点でポケモン対戦をみる、ということです。
対策ベースやコストはどの世代の構築にも共通の概念であることがわかると思います。
皆さんのプレイしている世代やルールで考えてみた場合はどうでしょうか?
③選出:見せ合い→選出、の対戦ルールから得られるメタ視点
対戦時に見せ合って、3匹選出する、というシングルルールをメタってまとめた概念がstoicさんの「選出強制力」です。
従来の選出概念を包括的に、実戦ベースの視点でまとめ上げた、素晴らしい記事です。
記事にある、メタ視点から浮かび上がってきた3すくみの概念。
ポケモン対戦にはこの3すくみのバランスが意図的に盛り込まれている部分が随所に見られます。
代表的な例は各世代のストーリーで最初に出会うポケモン・御三家で、炎・水・草、と属性相性が3すくみになっています。
シングル6→3の3vs3のバトルでも、例えば
・3匹のうち決定力を1匹に集中させてサポートから全抜きを狙う、
・対面志向の選出にして1vs2交換や2枚受け強要を狙う、
・受けサイクル志向の役割を持たせ1匹が相手のパーティの1匹ずつ以上を対応できるようにする、
といった戦術・役割は3vs3の形式をメタったかたちであり、上記はstoicさんの考察記事の3すくみと内容がほとんど一緒です。
また少し視点を変えてパーティ・選出単位でみると、はまっちゃった人さんの記事にあるように、「受け」「速攻」「崩し」の概念も3すくみのかたちになっています。
Aim at professional 別館 3すくみの関係から見る最前線で戦えるパーティの条件
つまり、ポケモン対戦には潜在的に3すくみの概念が内包されており、
シングル6→3の選出時、3vs3の対戦時、パーティ・選出単位の戦術概念、のメタ視点でそれぞれ捉え、抽象化すると上記のようにあらわれると思います。
この3すくみの概念からくるバランスや汎用性を構築の際にメタ視点で見たものが先ほども挙げた「コストの概念」です。
また実際の対戦では、自分の3すくみが先に崩されたとき、
役割理論では役割未遂、速度論やダメージレースでは速度負け、となり、負けてしまいます。
どちらもポケモン対戦における同じ現象を、違うメタ視点で切り取って、抽象化しているだけです。
ポケモン対戦は3すくみのバランスという、普遍的な要素が盛り込まれたゲームです。
みなさんが構築を改良したいとき、立ち回りの反省をするとき、この3すくみの概念を意識すると、メタ視点から新たなヒントが見つかるかもしれません。
④立ち回りの前提となる仕組み:ターン制バトルであることをメタる
人の考察を借りてばかりなので、少しは自分の考察も。
ポケモンバトルにおける「ターン制」、これをメタった考え方です。
以下にその要素を確定・不確定の二つに分けて挙げます。
ⅰ.ターン制バトルにおける確定的な要素
対戦の中で決まっている流れの部分です。ターンの最初に行われる交代、すばやさ順による先手後手の行動、少し意味を拡張して死に出しや爆破によるターンカット(第三世代まで)など。
交代という要素から役割による受けや役割破壊技の使用といったメタ要素が生まれます。
死に出しやターンカットによる無償降臨は、相手の選択関係なく、ターン制における「ターン自体」のアドバンテージを得るメタ戦術です。
またすばやさによる先手後手は、対面での優劣関係はもちろん、上記交代前後やターンカット前後のアドバンテージにも大きく影響するメタ要素であり、そのすばやさ関係自体を逆転させる戦術もメタ戦術であるといえるでしょう。
ⅱ.ターン制バトルにおける不確定的な要素
ポケモンバトルのターン制行動は2人のプレイヤーが「同時に」行い、一部例外を除いて相手の行動を見て行動を選択することが出来ません。ぬぁーさんのブログにその考察がされています。
なぜぼくはポケモンにハマり、そして強くなれなかったのか - ぬぁーメモ
この同時選択性により、先にあげた人対人の心理戦の側面や運による不確定な要素がターン制バトルに含まれています。
メタ的な視点から、先ほどの3すくみやバランスの概念の、運や読みの部分をより強く抽象化し、その様を「じゃんけんと一緒」「運ゲーだ」とよく言います。
今回この記事では、読みや運の要素は内容が長くなってしまうので取り上げないことにしました。
ここでは実際の立ち回りの不確定的な要素をメタ的に捉えた考察記事を紹介したいと思います。
アメザリさんのブログ
ⅲ.ターン制バトルにおける不確定な要素を確定させることでメタる
さて、上記ターン制バトルの構造をメタり、自覚的に不確定な要素を確定させて
ⅰ>ⅱ という構図を作り出し、相手にアドバンテージをとる戦術がいくつかあります。
金銀2000ではまきびしなどによる定数ダメージにより相手を崩す昆布戦術や吠えループ、みがわりによる起点作りや、起点からの積み技などです。
まもる+αのコンボもターンの経過を無条件に確定させてメタった戦術です。
昆布・吠えループの参考ログ CHさん 3代目魔人島様
これに関係して、ターン制をメタり、不確定な要素を確定に近づける立ち回りはundead-princessさんの提示する「読まない立ち回り」の概念に近いと思います。
読まない立ち回りと読む立ち回り
ターン制バトルをメタ視点で捉えた時、安定行動に近い立ち回りや一貫性自体よりも、立ち回りの安定の仕方や一貫のさせ方が重要なのです。
このように本来不確定な立ち回りを確定させるメタ戦術はじゃんけんで言うと、一方だけスーパーグーチョキパーを出せたり、後出しじゃんけんが許されているようなものです。
相手のじゃんけんの選択肢を奪う、ターン制の時間の概念を一方的に剥奪する、強力な戦術です。対戦状況によっては「詰み」になってしまうこともあるでしょう。
先日、金銀仲間でドラフトルールの対戦会を行いました!
その1周目のサドンデス(3匹選出固定ルール)で、このターン制バトルをメタった、 ガラガラ+ゲンガー+ムウマ の即興パーティを組みました。
(実際はその場のノリですぐサドンデスルールが決まったから10分くらいでみんな組んだ)
3匹固定のメンツはあきらかにWゴーストの自分が不利でしたが、
上記で挙げたすばやさ逆転、
爆破やみちづれによる死に出しからの無償降臨、
起点からの積み技、
混乱+麻痺によるストップコンボでの擬似的なリスクのないターン経過の確定、
などを搭載し、組み合わせることでWゴーストの相性不利を覆すことを狙った構築です。
実際の対戦でも不確定な要素を確定に近づけ、読まない立ち回りを実践しました。
この考察の実践ミニレポート代わりとして、参考までにどうぞ^^
第1回ラッパーマグロオフ 3代目魔人島様
ログだけ抜き出し
PokemonBattleシミュレーター vs CHさん
PokemonBattleシミュレーター vs stoicさん
●おわりに
ポケモン対戦をメタフィジカルな視点からみた要素や考察を紹介しました。
みなさんのすきな対戦ルールで使えそうなネタはあったでしょうか。
私は他世代の仕様や戦術は詳しくないので、なにかおもしろいネタがあればおしえてください。
また気が向いたら、他世代向けに理論関係の記事を書こうと思います!
今回の記事で第二世代に興味をもった方がいたら、ぜひジムリーダーの城に遊びに来てください!
ジムリーダーの城
ジムリーダーの城 - Hey guys, we still alive! =D
シミュレーターを使ったオンライン対戦なので、捕獲や厳選、育成の手間なく、初心者の方でも対戦が出来ます。
第二世代対戦について知りたい方は下記のページをみてみると、参考になると思います。
ゴールドさんのサイト POKeMON Battle HiSTORiA
CHさんのサイト 3代目魔人島
あやほろのリンク集 2014-11-10 - あやみがなどほろべばいい
世代やルールは違っても、ポケモン対戦はつながっています。世代が違っても、みなさんと一緒に盛り上がったり、楽しんでいけるとうれしいです!